金子晴勇[著]現代思想との対決 キリスト教思想史の諸時代Ⅶ [第7回配本]
世俗化の最終段階としての現代。
無神論とニヒリズムの蔓延による「神の死」によって行き場を失った現代人の霊性に
キリスト教はいかに応えるか。
『諸時代』棹尾を飾る渾身の論考。
現代は「ニヒリズムの世紀」と呼ばれるように、世俗化の最終段階に到達した。宗教的地盤を離れ、形骸化し、宇宙論的、社会的、人格的な諸次元における崩壊現象を引きおこし、聖なるものと聖価値とが完全に喪失するにいたった。この世俗主義のいきつくところは無神論とニヒリズムにほかならない。(本書より)
《主な目次》
はじめに
1 世俗化とは何か
[談話室] 世俗化を問題にしたのはなぜか
2 解体の時代
[談話室]ヘーゲル弁証法の意義と
ヘーゲル学派の分裂
3 ワイマール文化
[談話室]「ものの虜となる」現象
4 大衆化現象の問題
[談話室]ミュンヘンのオクトーバー・フェスト
5 水平化と実存思想 ― キルケゴール
の戦い
[談話室]わたしが実存思想から学んだもの
6 実存哲学との対決
[談話室]カフカとの対話
7 現代のキリスト教神学
[談話室]バルトとバルメン宣言
8 ヒトラーのファッシズムとの対決
― ボンヘッファーとヴェイユ
[談話室]ヒトラーの批判者と迎合者
9 ヨーロッパのニヒリズム
[談話室]ドストエフスキーの『悪霊』を読む
10 世俗化社会との対決
[談話室]世俗化社会における人間性の回復
付論 現代の政治倫理批判
あとがき
書評再録(評者:佐藤真一氏)
全巻構成(リンクは既刊)
Ⅰ ヨーロッパ精神の源流 [好評既刊 再版決定]
Ⅱ アウグスティヌスの思想世界 [好評既刊 在庫僅少]
Ⅲ ヨーロッパ中世の思想家たち [好評既刊]
Ⅳ エラスムスと教養世界 [好評既刊]
Ⅴ ルターの思索 [好評既刊]
Ⅵ 宗教改革と近代思想 [好評既刊]
Ⅶ 現代思想との対決 [最新刊 第7 回配本]
別巻1 アウグスティヌスの霊性思想 [第8 回配本]
別巻2 アウグスティヌス『三位一体論』の研究 [第9 回配本]
著者紹介
金子晴勇(かねこ・はるお)
1932年静岡生まれ。1962年京都大学大学院博士課程中退。67 年立教大学助教授、75年『ルターの人間学』で京大文学博士、76年同書で日本学士院賞受賞。82年岡山大学教授、1990年静岡大学教授、1995年聖学院大学客員教授。2010 年退官。
主な著書:『ルターの人間学』(1975)『アウグスティヌスの人間学』(1982)、『ヨーロッパ人間学の歴史』(2008)、『エラスムスの人間学』(2011)、『アウグスティヌスの知恵』(2012)、『知恵の探求とは何か』(2013)、『キリスト教人間学』(2020)、『私たちの信仰』(2020)、『人文学の学び方』(2020)、『ヨーロッパ思想史』(2021)、『東西の霊性思想』(2021)、ほか多数
主な訳書:アウグスティヌス著作集 第9 巻(1979)、ルター『生と死の講話』(2007)、ルター『神学討論集』(2010)、エラスムス『格言選集』(2015)、C. N. コックレン『キリスト教と古典文化』(2018)、エラスムス『対話集』(2019)ほか多数