金子晴勇[著] キリスト教思想史の諸時代Ⅴ ルターの思索

金子晴勇[著] キリスト教思想史の諸時代Ⅴ ルターの思索


新書版・272頁・1,320円(税込)
ISBN978-4-909871-36-7 C0216

書 評

ルター神学を「思索」=「省察」を基点に捉えた意欲作。
自己の「繊細にして感じやすい」《良心》は、アンテナ効果によって神を感得する。

良心が律法との関係に立つとき、何が良心に起こってくるのか、そしてそれに対して良心はどのように応じているのか、という良心現象の考察がなされる。それゆえルターでは良心が客観的に考察されるときでも、ただちに神との関係を意識するようになる。……したがって良心が繊細で感じやすいものというのは、他者によって外から影響を受け、そのような繊細な感受性によって神との関係で受苦する人間を語るようになる。良心は理性のような論理的な機能ではなく、他者との関係における自覚として働いているといえよう。(本文より)

《主な目次》

序文 ― ルターにとって「思索」とは何か
1 思想の出発点となった試練
 [談話室]宗教改革の遠因と近因
2 伝統の受容と変革
 [談話室]ルターの信仰
3 神と人との認識
 [談話室]義認論での比喩「娼婦」の理解
4 キリスト神秘主義
 [談話室]神秘神学の流れ
5 教義と霊性
 [談話室]わたしは『ローマ書講義』をどのように学んだか
6 律法と福音 ―『 ガラテヤ書講義』の神学思想
 [談話室]ルターによるパウロ主義の発展
7 神学の方法 ― 祈り、省察、試練の意義
 [談話室]ルターの遺産
8 説教と文化の改革
 [談話室]『ゲスタ・ロマノールム』
 (ローマ人物語集)について
9 職業と社会
 [談話室]ルターと世俗化の問題
10 ルターと現代の霊性
 [談話室]我が国の霊性理解
あとがき
書評再録(評者:濱 和弘氏)

全巻構成(タイトルは変更される場合があります。)

Ⅰ ヨーロッパ精神の源流 [好評既刊 再版決定]
Ⅱ アウグスティヌスの思想世界 [好評既刊]
Ⅲ ヨーロッパ中世の思想家たち [好評既刊]
Ⅳ エラスムスと教養世界 [好評既刊]
Ⅴ ルターの思索 [最新刊 第5回配本]
Ⅵ 宗教改革と近代思想 [第6回配本]
Ⅶ 現代思想との対決 
別巻 1 アウグスティヌスの霊性思想 [第8回配本]
別巻 2 アウグスティヌス『三位一体論』の研究 [第9回配本]

【著者紹介】金子晴勇(かねこ・はるお)  

1932年静岡生まれ。1962年京都大学大学院博士課程中退。67年立教大学助教授、75年『ルターの人間学』で京大文学博士、76年同書で日本学士院賞受賞。82年岡山大学教授、1990年静岡大学教授、1995年聖学院大学客員教授。2010年退官。 

主な著書:『ルターの人間学』(1975)『アウグスティヌスの人間学』(1982)、『ヨーロッパ人間学の歴史』(2008)、『エラスムスの人間学』(2011)、『アウグスティヌスの知恵』(2012)、『知恵の探求とは何か』(2013)、『キリスト教人間学』(2020)、『私たちの信仰』(2020)、『人文学の学び方』(2020)、『ヨーロッパ思想史』(2021)、『東西の霊性思想』(2021)、ほか多数 

主な訳書:アウグスティヌス著作集 第 9 巻(1979)、ルター『生と死の講話』(2007)、ルター『神学討論集』(2010)、エラスムス『格言選集』(2015)、C. N. コックレン『キリスト教と古典文化』(2018)、エラスムス『対話集』(2019)ほか多数 太文字は小社刊行