金子晴勇[著] 宗教改革と近代思想 キリスト教思想史の諸時代Ⅵ [第6回配本]
金子晴勇[著] キリスト教思想史の諸時代Ⅵ 宗教改革と近代思想(ヨーロッパ思想史)[全7巻別巻2]
新書判・272 頁・本体1,200 円+ 税
ISBN978-4-909871-37-4 C0216
書 評
霊性(信仰)から理性(合理主義)への移行により世界の〈世俗化〉が押し進められた西洋近代。それは新しい文化創造か、それとも文化破壊への道のりであったのか。
キリスト教信仰に代わって啓蒙思想の合理主義が登場してきて、ヨーロッパ的霊性(信仰)を追放し、自らが指導権を掌握したといえよう。だが、霊性との役割を交代することによって、理性の自律化が起こったとしても、その深みを失った結果、無神論とニヒリズムという病魔に冒されることになった。(本書より)
主な目次
はじめに
1 近代ヨーロッパ思想史の特質
[談話室]変革期を読み解く――伝統社会から近代社会へ
2 宗教改革者たちの世界
[談話室]オーバーマンの『二つの宗教改革』から学ぶ
3 宗教改革の意義
[談話室]ルター像の変遷
4 宗教改革と近代思想
[談話室]16 世紀スペインの霊性思想
5 近代的自我の問題――デカルトとパスカル
[談話室]パスカルの心的直感
6 啓蒙主義の人間観
[談話室]理性による自律は可能か
7 敬虔主義の人間観
[談話室]ドイツ敬虔主義の文献収集
8 ライプニッツの人間観と神義論
[談話室]予定調和説の魅力
9 カントの批判哲学の意義
[談話室]ハーマンのカント解釈
10 ヘーゲル哲学とキリスト教
[談話室]ヘーゲルは文化総合を実現したか
11 シュライアマッハーと「心情の宗教」
[談話室]シュライアマッハーの青春
付録 スペシャル・インターヴィユー
あとがき
書評再録(評者:大島征二氏)
全巻構成(赤文字は既刊)
Ⅵ 宗教改革と近代思想 [第6回配本]
Ⅶ 現代思想との対決 [第7回配本・執筆中]
別巻1 アウグスティヌスの霊性思想 [第8回配本]
別巻2 アウグスティヌス『三位一体論』の研究 [第9回配本]
著者紹介
金子晴勇(かねこ・はるお) 1932 年静岡生まれ。1962 年京都大学大学院博士課程中退。67 年立教大学助教授、75 年『ルターの人間学』で京大文学博士、76 年同書で日本学士院賞受賞。82年岡山大学教授、1990 年静岡大学教授、1995 年聖学院大学客員教授。2010 年退官。 主な著書:『ルターの人間学』(1975)『アウグスティヌスの人間学』(1982)、『ヨーロッパ人間学の歴史』(2008)、『エラスムスの人間学』(2011)、『アウグスティヌスの知恵』(2012)、『知恵の探求とは何か』(2013)、『キリスト教人間学』(2020)、『私たちの信仰』(2020)、『人文学の学び方』(2020)、『ヨーロッパ思想史』(2021)、『東西の霊性思想』(2021)、ほか多数
主な訳書:アウグスティヌス著作集 第9巻(1979)、ルター『生と死の講話』(2007)、ルター『神学討論集』(2010)、エラスムス『格言選集』(2015)、C. N. コックレン『キリスト教と古典文化』(2018)、エラスムス『対話集』(2019)ほか多数