ノーマン・クラウス著 南野浩則訳 働きかけるイエスの福音―問われる宣教の変革
ノーマン・クラウス著 南野浩則訳
働きかけるイエスの福音―問われる宣教の変革
西岡義行責任編集
東京ミッション研究所(Tokyo Mission Research Institute)刊行
四六判・216 頁・本体1,600 円+税
ISBN978-4-909871-71-8 C0016
教会の宣教はアガペーによる介入である!
「人に介入し、変革をもたらす」神を、なおも現代に語れるだろうか?
西洋キリスト教がもたらした強い確信に基づく絶対的真理としての福音宣教が、西洋文化の近代化プロジェクトにいかに取り込まれてしまったかを徹底して暴く、衝撃の自己批判の書。私たちの福音理解と宣教のあり方そのものを、その根本から問い直す預言者的希望の名著、待望の翻訳!
本書は、C. Norman Kraus著 An Intrusive Gospel? Christian Mission in the Postmodern World(Downers Grove: InterVarsity Press, 1998)の全訳である。C・ノーマン・クラウス氏は、一九二四年にバージニア州ニューポートニューズで生まれ、ゴーセン大学(B.A.)、同大学院、さらにプリンストン神学校(Th.M.)を経て、一九六一年にデューク大学で博士号(Ph.D.)を取得した。大学時代にルース・スミスと結婚し、5人の子どもに恵まれた。彼はメノナイト海外宣教委員を務め、インド、インドネシア、フィリピン、台湾、香港、オーストラリア、そして東アフリカのさまざまな国での働きに関わった。妻ルースとともに、メノナイト海外宣教局のもとで、おもにアジアで主に仕えた。クラウス氏は長年、アジアで神学教育にたずさわり、インドのセランポール神学校(1966-67)、同じくインドのプネにあるUnion Biblical Seminary(1983)で教え、日本では北海道東部聖書学校(1981-86)、さらに、オーストラリアのバプテスト神学校(1987)でも教えた。帰国後は、インディアナ州のゴーシェン大学に戻り教鞭をとった。大学退職後は故郷のバージニア州に戻り、ハリソンバーグのコミュニティ・メノナイト教会で臨時牧師を務めつつ、執筆活動を続けられた。二〇一八年四月六日に94年の生涯を全うし、天に召された。(「監修者あとがき」より)
主な目次
- 著者まえがき
- 訳者まえがき
- 序章
- 支配を超えて
- ギリシア的二元論を超えて
- 概観
- 第一章 ポストモダンにおけるキリスト者の証し
- パラダイム・シフトの影響
- 文化的なダイナミズムに対する新しい理解
- コミュニケーション過程について
- ポストモダンにおける神学的視点
- 第二章 介入 ― 存在と宣言
- 触媒としての働き
- 対話的協力関係
- パルーシアとしての存在
- 第三章 宣教の概念的枠組みの新しい方向性
- 変革のパラダイムへの概念的枠組み
- 変化とその担い手 ― 受肉のスタイル
- 第四章 どのような介入なのか? ―「霊性」の定義
- どのような種類の介入か?
- 霊性の定義
- 求められる変化
- 第五章 宣教に対するキリスト者の霊性
- 霊性の形態
- キリスト教的霊性
- 霊性の形成
- 宣教師の霊性の特徴
- 第六章 回心と社会的変革 ―「力の行使」について
- 確信の後退
- 権威と力
- 根本的な回心の必要性
- 変革のプログラムの特徴
- シャローム
- 第七章 他宗教との関係
- 新約聖書からの戦略的な提案
- 神学的視点
- 具体的な神学的課題
- 実践的な視点
- 注
- あとがき
翻訳:南野浩則(みなみの ひろのり):福音聖書神学校、メノナイトブレザレン聖書神学校、アバディーン大学院(Ph.D.旧約学)で学ぶ。現在、日本メノナイトブレザレン教団石橋キリスト教会牧師、福音聖書神学校教務、TMRI理事。著訳書:『聖書を解釈するということ―神のことばを人の言語で読む』(いのちのことば社)、『十戒―シナイ契約・律法と山上の説教』(いのちのことば社)、エルマー・マーティンズ著 『神のデザインー旧約聖書神学の試み』(福音聖書神学校出版局)、ベルンハルト・オット著 『シャーローム・神のプロジェクト』(いのちのことば社)他。
監修:西岡 義行(にしおか よしゆき):東京聖書学院、アズサ・パシフィック大学、同大学院、フラー神学校(Ph.D. 比較文化論)で学ぶ。現在、東京聖書学院教頭、TMRI総主事、東京基督教大学非常勤講師、日本ホーリネス教団川越のぞみ教会牧師。著訳書: “Worldview Methodology in Mission Theology” (Missiology, vol. 26)、D. ボッシュ著『宣教のパラダイム転換』(編集共訳/新教出版社)、『社会に開かれた教会』(共編著/いのちのことば社)、“A Creative Death Ritual: Receptor-Oriented Sense-Making in Japan.” In Traditional Ritual as Christian Worship. (Orbis Books) 他。