大庭貴宣[著]エイレナイオスの聖霊神学

大庭貴宣[著]エイレナイオスの聖霊神学
2世紀に解き明かされた三位一体と神化

A5 判変型・288 頁・本体2300 円+ 税 
ISBN978-4-909871-65-7 C0016

書 評

人は、神との類似性を回復し、
神化を辿ってまったき存在となる!

父なる神、御子、聖霊、それぞれの位相と相互の働きについて考察し、三位一体の神が人とどのように関わってくるのか—を論ずる。異端反はんばく駁の苛烈な論戦を張りつつ涵かんよう養(かんよう)されていったエイレナイオスの聖霊神学、その全貌を解明する!

【主な目次】

序論
1 本論文の目的/ 2 関連する先行研究/ 3 エイレナイオスの生涯と著作・研究資料

第1 章 
エイレナイオスにおける「神の両手」の置き換えの思想――「 御言葉と知恵」から「御子と聖霊」へ
1 「神の両手」のモチーフの源流―― アンティオケイアのテオフィロスの影響を中心に ――/ 3 エイレナイオスにおける「御言葉と知恵」の「御子と聖霊」への置き換えの目的/ 4 「御子と聖霊」の置き換えと『ソロモンの知恵』との関係性/ 6 グノーシス主義反駁のための置き換えの思想// 6―4 『異端反駁』第4 巻20 章1 節から4 節における「神の優位性」の保持/ 7 まとめ

第2 章 
エイレナイオスにおける善き神と人間の成長

1 エイレナイオスにおける神観――善いものを与える神――/ 1―1 エイレナイオスはなぜ人間の成長の思想を持ったのか/ 1―5 『異端反駁』第4 巻37 章6 節から7 節における「善」の訓練と第4 巻39 章1 節にある「二重の知覚」/ 2 人間の成長としての「神化」/ 2―1 「神の子ら」として造られた人間 ―― 本性における「神の子ら」について ――/ 2―3 御子の受肉と「神化」/ 2―4 教会の時代における聖霊の働きと「神化」/ 3 「御子」と「聖霊」による「肉」と「魂」への混合と一致/ 3―1 御言葉の受肉と人間の結合による「不滅性」の回復/ ―4 『異端反駁』第3 巻17章1 節における「形成物」と第3 巻17 章2 節における「霊」の働きの関係性

第3 章 
エイレナイオスにおける聖霊の人間への臨在

1 創造における聖霊の臨在/ 2 旧約の時代における聖霊の臨在/ 4 御子の受肉における聖霊の臨在― 御子の洗礼における聖霊の臨在 ―/ 6 教会の時代における聖霊の臨在7 教会の時代における「聖霊の人間への臨在」は「信者のみ」であるか/ 8 まとめ

第4 章 
聖霊の内在による信者の刷新
1 人間の内側から「助言」を与える聖霊の内在/ 1―1 『使徒たちの使信の説明』第9 章における聖霊の在在における7 つの方法/ 1―3 創造における「助言」の聖霊/ 1―4 旧約の時代における「助言」の聖霊/ 1―6 教会の時代における「助言」の聖霊/ 2 聖霊の内在は「父の意志」を行わせ、「一致の確立」と「結実の確立」を与えること/ 2―1 神の形成物と聖霊の一致により、人間が行う父の意志とは何か/ 2―3 『異端反駁』第3巻17 章2節における聖霊の内在が与える「一致」/ 2―4 まとめ

第5 章 
人間を完成へと至らせる聖霊の働き
1 人間の構成要素としての肉・魂・霊/ 2 聖霊の授与と人間の成長の関係/ 4 洗礼を受けるにふさわしい者は誰か/ 5 エイレナイオスにおける罪理解/ 8 エイレナイオスが示す善とは何か/ 9 キリストの証人としての使徒による従順への勧め/ 11 洗礼と善の行いの相互作用/ 12 聖霊を保持するための聖霊自身の働き/ 15 創造の完成である神化

結論
参考文献/あとがき

著者プロフィール

大庭貴宣(おおば・たかのり) 
1978 年東京生まれ。キリスト聖書神学校卒業。南山大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(宗教思想)。現在、キリスト聖書神学校教授。南山大学非常勤講師、南山大学大学院非常勤講師。日本福音主義神学会中部部会理事。