ヨベル発行の書籍が紹介されました。

岩本遠億[著]完全な愛が現れた ・ 人は悪魔に勝った ルカの福音書説教集4が濱和弘牧師(日本ホーリネス教団 小金井福音キリスト教会)がFacebookで紹介くださいました。とても内容を摑んだ紹介記事です。
どうぞお読みください。

 親しくしていただいている岩本遠億氏から、出版されたばかりのルカによる福音書の説教集シリーズの第4集(最終巻)である『完全な愛が現れた・人は悪魔に勝った』をご恵贈賜わった。すぐお読み始め、先ほど読み終えた。


 いつもながらの良書であり、皆さんに是非読むことをお勧めしたい書である。何よりも霊的洞察が鋭いと言える。それをわかりやすい言葉で伝える力は、この書の魅力である。


 岩本氏の説教は歴史的文脈をしっかりとらえ、それを土台として、霊的な内容をわかりやすく伝えていくと言う構造上の特徴を持っている。そういった意味では、優れた研究者の視点から、牧会者の視点へとシフトしていくのだが、このルカによる福音書の説教集のシリーズを通して、その語りが、少しずつシフトしてきているように思える。とりわけ、この第4集には、それを強く感じる。


 岩本氏は、ルカによる福音書からの説教を2年半ほどかけてなさっていたということだが、この第4集の説教は、その特徴通り歴史的文脈のとらえ方が、歴史的出来事、歴史的背景を捕えると言う釈義的なものから、それらを視野に入れつつ、登場人物の思いに切れ込むと言う歴史的心理を捕え、そこから説教を構築している傾向が強く出ているように感じられる。


 もちろん、今までの説教集にも、それは確かに見られるのだが、今回の説教集は、それがより強く現れているように思える。


この登場人物の歴史的心理は、歴史的出来事の背後にあるものであり、いわば記述された歴史的出来事の行間にあるものである。


それを読み取っていくのは、読み取る者と、提示されている歴史的出来事に直面する人物との心の共感がカギとなる。そして、それは釈義的な読みかたからの解釈という視点からではなく、極めて観想的な読みからの共感によって読み取られていく。文献学的な歴史的背景は、そのための踏み台に過ぎない。


 察するに、岩本氏の信仰の歩みが、この第4集が取り上げたイエス・キリスト様の十字架の死と復活の物語を取り巻く人物の心理に共感する宗教経験に土台しているもなのであろう。それほどの熱量がこの説教集にはある。それだけに、イエス・キリスト様の十字架と復活の出来事が、生々しいほどのリアルティを持って迫ってくる。


 この書は、順調な信仰生活を歩み、自らの信仰に自信を持ち、信仰生活を謳歌している人には、ひょっとして響かないかもしれない。しかし、自らの弱さを知り、また、信仰生活に行き詰まりや挫折、あるいは息苦しさを感じつつ、それでもなお、神を求めて生きている、あるいは一度でもそのような思いもったことのある人の心には、慰めと支えとを与えてくれるものになると思う。いや、「なる」と断言しても良いと思う。


 ちなみに、買おうと思われた方は、ぜひ、教文館やオアシス等のキリスト教書店からお買い求めいただきたい。キリスト教書店を支えることが、キリスト教の出版を支えることになるので。