W・ロス・ヘイスティングス[著]小山清孝[訳]悲しみに壊れた心はどこへ行くの? 死との和解の神学
W・ロス・ヘイスティングス[著]小山清孝[訳]悲しみに壊れた心はどこへ行くの? 死との和解の神学
四六判・288 頁・本体2,000 円+税
ISBN978-4-911054-10-9 C0016
書 評
人の悲嘆、傷み、喪失を、
〈三位一体の神〉から語りかける。
牧師である著者自ら体験した、愛する者(妻)との別れ、傷み、悲しみ。それらを通して、人の〈愛着と喪失〉の心理学的理論を、〈三位一体の神〉における愛と交わりの真理への架け橋としてつなげていく壮大な神学的アプローチ。
我々は、悲嘆を克服しない。悲嘆は決して我々を離れない。悲嘆をもたらした喪失感は、いつもそこに—すぐそこに—、存在している。そしてその傷は、最も予想しない時に、新しい裂け目として現れやすい。悲しむ人がその悲しみをそのまま悲しみ、また、悲しむ人を全ての慰め主である神の慰めへと導き、そして、その人が心の準備ができているなら、悲しみが新しい息吹を得て、それがほどける変化へと導かれることを願う。(本書より)
主な目次
推薦の言葉/著者からのメッセージ/まえがき/謝辞
序章
第1 章 神との悲嘆の共有 ― 物語への導入
第2 章 神との悲嘆の共有 ― 人間における普遍的なもの
第3 章 悲嘆と喪失の神秘 ― 知らないこと
第4 章 我々が知っていることを、如何にして知るか ― 知ること
第5 章 悲嘆の源と性質
第6 章 悲嘆の源と性質 三位一体神学からの考察 ― 参加すること
第7章 悲嘆の源と性質 ― 心理学からの洞察
第8 章 適応へ向けて ― 脱構築における三位一体の神との悲嘆の共有
第9章 適応へ向けて ― 再構築における三位一体の神との悲嘆の共有
第10 章 適応へ向けて ― 苦しむ神の神義論
第11 章 適応へ向けて ― 三位一体の神の民との悲嘆の共有(1)
第12 章 適応へ向けて ― 三位一体の神の民との悲嘆の共有(2)
第13 章 適応へ向けて ― 個人的な実践による神との悲嘆の共有
事項・人名索引/訳者あとがき
著者略歴 W. ロス・ヘイスティングス(W. Ross Hastings)
スコットランド人である両親が宣教師として滞在していたアフリカ(ジンバブエ)で生まれる。ヨハネスブルグの大学を卒業後、南アフリカの高校で化学教師、さらにイギリスの高校で教鞭を取る傍ら校長を務めた。その後、クイーンズ大学(カナダ、オンタリオ州)で学び化学で博士号、さらにセント・アンドリュース大学(スコットランド)で神学博士号を取得。モントリオール、バンクーバーの教会で牧師を勤めた後、現在、リーゼント神学大学教授。専門は、組織神学(特に三位一体の神学)、牧会神学、霊性の神学、キリスト教倫理、科学と神学など。これまでに、本書を含めて6 冊の著書があり、2017 年に出版された『Echoes of Coinherence: Trinitarian Theology and Science Together』は、その年のカナダで最高の学術書に贈られるグレース・アーウィン賞を受賞。
訳者略歴 小山清孝(おやま・きよたか)
福岡県出身(1943 年生); 九州大学工学博士(Ph.D.)、ブリティッシュ・コロンビア大学Ph. D.(化学); トロント大学博士研究員を経て、日本の民間化学会社に就職(探索研究所長、法務・特許部長、ファインケミカル事業部部長等を歴任);( 社)日本化学工業協会にて国際業務室長(WTO、自由貿易協定等に関わる国際貿易; 国連〈ILO、IMO 等〉、OECD、ISO における化学品の安全管理に関わる国際調和等); 経済産業省貿易政策小委員会委員、経団連貿易と投資委員会委員、OECD 産業諮問委員会委員、APEC化学産業部会委員等; “Enzyme Engineering 7”( The New York Academy of Sciences, 1984)、“Biocatalysis in Organic Media”( Elsevier, 1987)、“Biocatalytic Production of Amino Acids and Derivatives”( Hanser, 1992)、“Chirality in Industry”( John Wiley & Sons 1992)等、化学に関わる論文・総説・著書(共著)多数; 小説「黎明よ疾く覚めて闇を打て」(ペンネーム:仰木 望、文芸社、2007)、船本弘毅編著『希望のみなもと ― わたしを支えた聖書のことば」(燦葉出版社、2012)、『創造か進化か ─ 我々は選択せねばならないのか』『今、よみがえる創世記の世界 ― 進化論と聖書との対話』(以上ヨベル、2020)元山口大学工学部非常勤講師; リーゼント・カレッジ客員研究員(科学と神学)