西谷幸介[著]「日本教」 の極点―母子の情愛と日本人
日本には、神道でも、仏教でも、キリスト教でもなく、「日本教」というただひとつの宗教が存在しているに過ぎないのか。人々の意識や宗教観に織り込まれた「母子の情愛」と、そこから見える日本社会の深層を、現代の一キリスト者である著書がたどる―。
「ヨイトマケの唄」 を聴くと 涙が止まらないのは なぜ?
山本七平、森 有正、土居健朗らが遺した日本人論を丁寧にたどり、「母子の情愛」が日本人特有の霊性の源流となって独自の国家宗教を形成するまでに至ったことを論証。日本宗教論の新たなランドスケープ。
人も社会も宗教も、日本はもっぱら母が育ててきた!?
主な目次
はじめに〈P・ティリッヒ〉
Ⅰ 日本教―日本人理解のための鍵概念
第一章 日本教〈山本七平〉
第二章 二人称関係〈森 有正〉
第三章 なぜ日本人は臓器移植に消極的か?〈立花 隆 他〉
第四章 日本的「恩」論〈山本七平〉
第五章 親子関係〈山本七平〉
Ⅱ 母子の情愛―日本教の極点
第六章 母性社会日本〈河合隼雄〉
第七章 母性社会としての古代日本〈暉峻康隆〉
第八章 阿闍世コンプレックス〈小此木啓吾 他〉
第九章 甘えの構造〈土居健郎 他〉
おわりに〈柳田国男 他〉
補遺 「不当な連れ去りか母子の情愛の帰結か―日本人母親によるアメリカからの子どもの連れ帰り」
著者略歴
西谷幸介(にしたに・こうすけ)
1950年、佐賀県生。1980年、東京神学大学大学院博士課程修了。1986〜88 年、スイス・バーゼル大学神学部留学(97年、Dr. theol. 取得)。東北学院大学文学部教授、青山学院大学 専門職大学院国際マネジメント研究科教授、同大学院宗教主任を経て、現在、日本基督教団 戸山教会主任牧師、青山学院大学名誉教授。
著書:『ニーバーとロマドカの歴史神学―その社会倫理的意義』(ヨルダン社、1996)、Niebuhr, Hromadka, Troeltsch, and Barth: The Significance of Theology of History for Christian Social Ethics (New York: Peter Lang Publishing, 1999)、『十字架の七つの言葉』(初版;ヨルダン社、1999、改訂新版;ヨベル、2015)、『宗教間対話と原理主義の克服』(新教出版社、2004)、Understanding Japaneseness: A Fresh Look at Nipponjinron through “Maternal-filial Affection” (Hamilton Books, 2017)、『教育的伝道―日本のキリスト教学校の使命』(ヨベル、2018)他。
訳書:W・パネンベルク『現代キリスト教の霊性』(教文館、1987)、W・グロール『トレルチとバルト』(教文館、1991)、J・M・ロッホマン『駆けよってくださる神』(新教出版社、2000)、R・R・ニーバー『復活と歴史的理性』(新教出版社、2009)、A・リチャードソン『仕事と人間』(新教出版社、2012)他。