教育的伝道 ―日本のキリスト教学校の使命 西谷幸介[著]

20180220西谷幸介著(青山学院大学 専門職大学院国際マネジメント研究科教授)
教育的伝道  ―日本のキリスト教学校の使命
A5判美装・376頁・本体3,600円+税  
ISBN978-4-907486-64-8

 

 

 

書 評
本のひろば 2018.7月号

キリスト教の日本伝道は今まさに「危機」に瀕している。その原点に今一度立ち返ることが求められている。本書は「学校教会再興論」の提言であり、それが教育的伝道の仕上げとなる。教会と学校の分離ではなく区別の中での、しかし素振りだけで終わらない、両者の本当の連携の必要を懇切に論じる。   ……筆者の「学校教会再興論」は、先にしるした「学校伝道は教会形成と密接に関わる重要事である」ということを考え抜いてきたあげくの結論である。筆者は教会形成論の向こうを張って学校伝道論を展開してきたわけではない。日本のキリスト教伝道がいかにしてより積極的に推進されうるかということだけを考えて、これまでもやってきた。そこで到達した結論が本書の内容なのである。
筆者がこの「学校教会再興論」をぶつと、一方で、お前は何か勘違いをしている、的外れな考えだ、というような表情をされたが、他方では、これに聞き入り、賛同を表明される方々も少なくなかった。不思議なことに、前者には宗教主任が多い。ある種の「棲み分け」論に安住したいのである。勿論、宗教主任たちにも賛同者が存在する。学校外の教職たちも賛否両論だが、じょじょに賛成論者が増えてきた感がある。バルティアンとして知られた先生が大賛成と言われたときには、意外感とともに、嬉しさも感じた。
しかし、なぜ、これが必要なのか。棲み分け論などに留まっていることができる時代ではないからである。キリスト教の日本伝道は今まさに「危機」に瀕している。その原点に今一度立ち返ることが求められている。………(著者「序文」より)
 

 

西谷幸介(にしたに・こうすけ)  
1950年、佐賀県生。1980年、東京神学大学大学院博士課程修了。1986〜88年、スイス・バーゼル大学神学部留学(97年、Dr. theol.取得)。 東北学院大学文学部教授を経て、現在、青山学院大学 専門職大学院国際マネジメント研究科教授、同大学院宗教主任。
主な著書:『ニーバーとロマドカの歴史神学―その社会倫理的意義』(ヨルダン社、1996)、Niebuhr, Hromadka, Troeltsch, and Barth: The Significance of Theology of History for Christian Social Ethics (New York: Peter Lang Publishing, 1999)、『十字架の七つの言葉』(初版;ヨルダン社、1999、改定新版;ヨベル、2015)、『宗教間対話と原理主義の克服』(新教出版社、2004)、Understanding Japaneseness: A Fresh Look at Nipponjinron through “Maternal-filial Affection”(Hamilton Books, 2017)他。 訳書:W・パネンベルク『現代キリスト教の霊性』(教文館、1987)、W・グロール『トレルチとバルト』(教文館、1991)、J・M・ロッホマン『駆けよってくださる神』(新教出版社、2000)、R・R・ニーバー『復活と歴史的理性』(新教出版社、2009)、A・リチャードソン『仕事と人間』(新教出版社、2012)他。