従順という心の病い―私たちはすでに従順になっている

20161024アルノ・グリューン著 村椿嘉信訳  

46変形判・160頁・800円(税別)
ISBN978-4-907486-42-6 C0011

 

 

 

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 書 評 
“服従”が“思考停止”となるとき〜工藤信夫氏
(くどう・のぶお=平安女学院大学名誉教授、精神科医、医学博士)

なぜこれほどに民は従順なのか?〜富田正樹氏
(同志社香里中学校・高等学校聖書科主任)

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従順の問題点―私たちはすでに従順になっている  
従順であるとは、「他者の意志への屈服」である。この場合、他者は、被抑圧者に対して、「権力」を行使している。この抑圧は、すでに乳児期に、つまり言語や思考を身につける以前に始まる。そのため従順になった子どもは、子どもの期間だけでなく、後になっても気づくことなく、耐え忍ぶようになる。このようにして、私たちの文化が発展してきた。それは、しっかり固定化した慣習が、それを反映する従順へと私たちをそそのかし、権威に疑いを持たないように仕向け、あらかじめ方向づけられた計画や集団の思考に献身するように誘導し、最終的に、自分で考え、自分で判断することを不可能にする。2011年3月11日に福島で起きた原子力発電所の事故の後に、日本の国会に設けられた事故調査委員会の委員長であった黒川清〔1936―。医学博士、東京大学名誉教授、元日本学術会議会長。2011年より、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の委員長〕は、事故はそもそも、日本の監督官庁の見解が、原発を運営しているTEPCO(東京電力株式会社)と一致していたので起こったと指摘し、「権威者や政府に無批判に従順になることが、日本文化の深層に根を張っている」ことが原因だと指摘した(マルティン・ケーリング〔ドイツのジャーナリスト、東アジア特派員〕)。〈本文より〉

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四六判・328頁 1,600円+税
ISBN978-4-907486-68-6


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