世界がぶつかる音がする―サーバンツの物語
CLC BOOKSお茶の水店にて売れ筋ベスト5に!
編 集 ― クリスティン・ジャック
訳 者 ― 永井みぎわ
四六判・304頁・1300円+税
ISBN978-4-907486-32-7 C0016
急加速で変化し続ける国際社会。経済成長を続ける低所得の国々。しかし、その成長の歪
みが、貧富の差の拡大に現れています。そして、経済的には豊かであるにもかかわらず、様々な社会問題を抱える日本。ニュースを見て、世界のことを知るのは大切です。
また、世界のことや、日本のために心を注いで祈ることも大切です。しかし、自分ができることの少なさに、どうしたらよいかわからないまま、毎日が過ぎて行ってしまうこともあるのではないでしょうか?
その第一歩が、まずこの質問です。「あなたは、貧しい人の名前を知っていますか?」統計ではなく、ニュースではなく、一人の人。その人のストーリーを知ることが、あなたの心を動かし、神さまのこの世界への想いを受け取ることにつながります。
サーバンツは、アジアのスラム街に向かい、貧しい人たちを知り、学び、愛し、共に生きてきたグループです。2000年前、この世界の貧困の真っ只中に生まれて人として歩んでくださったイエスさまは、もっとも貧しい人たちのところにおられる。そう信じ、小さいかもしれないけれど、イエスさまの福音を実際にスラムで生きることにチャレンジしてきた人たちの集まりです。彼らの声、そして彼らが出会ってきた人たちの声を記録した本が、「世界がぶつかる音がする」です。
イエスの福音を実践するとはどういうことだろう?
貧しい人たちに仕えるにはどうすればいいのだろう?
宣教で一番大切なことは何だろう?
持続性がある支援活動とはどういうものだろう?
自分にできることは何だろう?
地域に仕える教会とはどうあるべきだろう?
イエスにあってもっと自由に生きるとはどういうことだろう?
これらの質問に答えてくれるのは、アジアの各地にいる人たちです。彼らは決して政治的にも経済的にも力がある人たちでありませんが、イエスの力を知っている人たちです。
そして私たちが、イエスの福音を実践するとき、彼らと共に歩むことができるのです。マニラのストリートチルドレン。カンボジアの内戦を生き延びた女性。エイズで親を亡くした青年。暴徒たちの前にイエスの非暴力の平和を実践した人。売春や暴力の中でも、希望を失わずに生きるしなやかさを持つ女性たち。この人たちの声に耳を傾けると、きっと囁く声が聞こえるでしょう:「この痛みの中に、私は生まれた。愛は全てを覆うから。」
この本は、世界宣教、地域宣教、地域教会、貧困や社会問題、支援活動に興味がある人たちにぜひおすすめしたい本です。一つ一つのストーリーが短く読みやすく実践的なものですが、神学的な要素にもフォーカスして編集されています。また、簡単な答えを出すのではなく、苦しみ、痛み、もどかしさ、悲しみの中にも神がいることを示唆する内容なので霊的により深い歩みを促す本でもあります。
そして、アジアの人たちからの声が、今この日本で必要だと信じています。科学的、経済的、社会的にも発展している日本。しかし、多くの社会問題を抱えている現実があります。弱い立場にいる人たちにとっては、決して生きやすいとは言えない現状です。また、3.11を経験したにも関わらず、被災地は忘れさられ、便利や利益を一番にした経済成長重視のあり方が続いていますし、平和ではない道をたどろうとする傾向が見受けられます。その日本に大切なことを教えてくれるのは、アジアの貧しい人たちだと思うのです。迫害や困難、貧困や病の中にあっても、イエスの愛を実践している人たちだと思うのです。
今、もう一度「イエスを生きるとはどういうことか?」また、「弱い立場にいる人たちが受け入れられる社会はどういうところだろうか?」考えてみませんか?
この本は、5年前に出版されたThe Sound of Worlds Colliding の和訳です。実際サーバンツのメンバーとしてカンボジアのスラムで3年生活した日本人女性が翻訳に携わりました。英語版は、国際的なクリスチャンの援助団体のティアファンドの代表ピーター・グラント氏や、「誰も知らなかったイエス」の著者であるフィリップ・ヤンシー氏なども推薦文を書いています。
現在、インドネシア語への翻訳が進められています。