山口雅弘[著]「生きる」 をいつくしむ ガリラヤに生きたイエスの「共食と共生」

山口雅弘[著]「生きる」 をいつくしむ ガリラヤに生きたイエスの「共食と共生」

新書判・288 頁・1,500 円+ 税

ISBN978-4-911054-35-2 C0216

著者は現代に満ちる暴力と戦争の悲惨な連鎖を見据え、「希望」を見失わずにイエスの「実像」と宣教の使信に迫る。イエスが示す「共食」は、理不尽な苦しみを強いられる人にとって「共生」の喜びの時を育む源、人を非人間化する「社会悪と宗教悪」に抗う時と場になった。この「共食と共生」の生き方とローマ帝国の極刑であった「晒し柱」(十字架刑)のイエスの処刑死を「贖罪信仰」へと神学化し、「キリスト教」も諸悪の温床になっていることを歴史批判的に検証。

まえがき
第一章 「人間の実態」を見る視点/一 「人間学」の視点か
ら/二 ユダヤ民族の生き方の特徴
第二章 「共食と共生」の課題/一 「共に食べる」という切
り口から/二 平和の源と希望としての「共食と共生」/三 
弱いことはすてきなこと ― 食を共にすること/四 「神よ、
なぜですか!」と祈る前に/五 それでも「希望」を失わず
第三章 「共食と分かち合い」の物語の前史/一 罪つくりな
「原罪」の教え ―「 食物」をめぐる最初の記事/二 「未知の
世界」に踏み出すイブ/三 「失楽園」に生きる人間/四 神
のように「なれない」人間
第四章 ユダヤ教律法の価値基準 ― 食物規定と「食」のタブー/一 福音書の「食」物語を素材にして/二 歴史の「ターニングポイント」になる物語/三 垣根や境界線を超える視点/四 「食」をめぐる主な問題のまとめ
第五章 洗礼者ヨハネとイエス ― いなごと野蜜/一 イエス
の先駆者/二 イエス時代の人びとの生活環境/三 食事と
保存食の知恵/

第六章 「罪人」との食事/一 旅人イエス/
二 施しを受ける日々/[コラム10] イエスとガリラヤ人の
日常語/三 徴税人レビのもてなし/四 「罪人」との食事
第七章 五千人との共食 ―「 憐れみ」の心/一 五つのパンと二匹の魚/二 分ければ増える/三 イエスの「ちむぐりさ」―「 共感・共苦」
第八章 イエスの「遺言」 ― ホスピタリティ/一 ガリラヤの民衆が伝えるイエスの「共食」/二 旅の食事とイエスの「遺言」/三 「共食」の根底にあるホスピタリティ/四 自立と分かち合いの生き方
第九章 イエスの処刑前の食事 ― 最後の晩餐/一 レオナル
ド・ダ・ヴィンチの問いかけ/二 イエスの最後の食事/三 愛と哀しみの食事/四 摩訶不思議な聖餐
主な参考文献表/あとがき/各章に[コラム]

山口雅弘(やまぐち・まさひろ) 

1948 年札幌に生まれる。日本聖書神学校卒業。以後、日本キリスト教団諸教会の牧師を歴任。アメリカ・ケンブリッジEpiscopal Divinity School に留学(神学修士号取得)。単位互換制度によりハーバード大学神学校で学び、米国長老派研修施設(ニューヨーク)常駐神学教師、並びに諸教会の協力牧師。日本聖書神学校講師(新約学)。現在、日本キリスト教団引退牧師。

著書:『イエス誕生の夜明け:ガリラヤの歴史と人々』、『よくわかる新約聖書の世界と歴史』(以上日本キリスト教団出版局)、『イエスの道につながって:教会暦による随想とメッセージ』(新教出版社)『ガリラヤに生きたイエス:いのちの尊厳と人権の回復』(2022、20232 ヨベル)。編・著書:『聖餐の豊かさを求めて』(新教出版社)。

翻訳書:M. ヘンゲル著『イエスは革命家であったか』(共訳、新教出版社)、L. ウイリアムソン著『現代聖書注解̶マルコによる福音書』、P. パーキンス著、、P. パーキンス著『現代聖書注解―ペトロの手紙1・2、ヤコブの手紙、ユダの手紙』(日本キリスト教団出版局)、M. ディベリウス著、H. コンツェルマン改訂増補『牧会書簡注解̶第1・第2 テモテ書、テトス書』(教文館)。