マッチ棒の詩 ― 死で終わらない人生 服部ますみの道程 

20170322_01服部 稔[著]
マッチ棒の詩 ―― 死で終わらない人生  服部ますみの道程 
新書判・240頁・本体1,000円+税 
ヨベル新書040 ISBN978-4-907486-34-1 C0216

◆書評
・舟の右側2017年6月号

 

永遠を指さした生涯 山中正雄師
(日本アライアンス教団千葉キリスト教会牧師、精神科医)

2012年夏、一人の女性が厳しい闘病生活を経て、地上から天へ旅立ちました。彼女の名は服部ますみ、享年72歳2か月。歴史書に名が記されるような偉大な人物ではありません。兵庫県に誕生し、大阪聖書学院卒業後、著者である夫と共に高知の小さな教会へ赴任。以来、牧師夫人、子供4人の母、また幼児のための「めぐみ園」主任として最期の日までいのちを燃焼させました。  
ますみさんは、一見すると体つきは細身で、穏やかに語る女性でしたが、夫をして「奥様というより『前様』の方がぴったりくる」と言わせた「スーパーウーマン」でした。伝道・牧会の成果が出にくい地方の教会で、勤勉・実直な性格の夫を45年間支え続けてきました。妻の功績がどれほど大きかったか。……本書は人生の同伴者・同志として互いに支えあった夫婦の生活記録、闘病記といえるかもしれません。
 
ただ一読してわかるように、通常の闘病記の範疇には属さない書物でもあります。夫婦論、人生論、信仰論、そして死生学的探求が随所に展開され、深められているからです。自らの生活体験と聖書に基づく堅実な信仰―。これら2本の糸をしっかりと結び、より併せていく。そのユニークな記述の仕方に読者は感動を覚えるに違いありません。……この書を通して生きる希望を見い出し、喪失の悲しみの中から立ち上がる人が起こされるよう祈るものです。(本書「すいせんの言葉」より抜粋)

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