オルガン奏者の真実な証しの力と、慰めと励ましに富んだ証し〜臼田尚樹

20161014_01福地多惠子著 主の奇跡と守り —わたしの信仰の歩み—
(四六判・八八頁・本体七〇〇円+税)

評者:臼田尚樹 (うすだ・なおき=日本福音基督教団 成城キリスト教会牧師、「主の奇跡と守り」刊行会代表)

 成城キリスト教会の創立者であり父である、平出慶一師の信仰の姿を見ながら育った福地多惠子姉の信仰の歩みが、著者九十一歳の誕生日に発行されました。奇跡と守りに富んだ、主のあふれる恵みをご紹介いたします。 [平出慶一師は、大正七年(一九一八年)内村鑑三、中田重治、木村清松らと共に再臨運動を全国的に展開した。]

 今、教会の礼拝堂には美しいオルガンの音色が響きわたっています。教会のオルガニスト福地多惠子姉は、明日の聖日礼拝の奏楽に備えて、土曜日に教会のオルガンで二時間ほど練習されます。私はそのオルガンの音色を耳にしながら、礼拝の説教準備をしています。

 福地多惠子姉は、教会創立の最初の礼拝以来、奏楽を続けて来られた成城キリスト教会のオルガン奏者です。教会創立時の最初の礼拝の時、二十一才からオルガンの奏楽を始められて、来年は教会創立七十周年目であるゆえ、五十数年にわたり、礼拝の奏楽を通して主にお仕えしてこられたのです。礼拝での奏楽は単なる伴奏ではなく、賛美そのもの、祈りそのもの、礼拝になくてはならない奉仕です。

 福地多惠子姉は教会音楽を専門的に学ぶためアメリカのゴールデンゲート・バプテスト神学校で学ばれ、海外でも米国カリフォルニア州バークレーにあるクリスチャン・レイマン・チャーチとマレーシア国のクアラルンプールにあるカルバリー・チャーチでも礼拝の奏楽のご奉仕をされてきました。

 礼拝の前奏を弾きだす時、会衆の心は静まり、主の御前における祈りへと導かれます。奏楽によって礼拝が生き生きとした時間になり、神の命の息が礼拝をささげる一人ひとりに吹き込まれるのです。もちろん御言葉を取り次ぐ私自身にもです。

 福地多惠子姉はご自宅のオルガンでも毎日練習されています。もちろん技術的にいつでも曲を弾くことはできます。それでも土曜日の教会でのオルガン練習を欠かしたことはありません。祈りをもって奏楽するため、あるいは奏楽が祈りとなるため、これほどまで真摯にご奉仕される中に主の御再臨を待望する真の礼拝者としての姿を見るのです。

 この度は、福地多惠子姉が今まで体験して来られた「生きた証し」を是非綴っていただきたいと願い、「主の奇跡と守り」の発行となりました。真実な証しには力があり、慰めと励ましに富んでいます。読まれる方の心を必ず勇気づけることは間違いありません。敬愛する成城キリスト教会の奏楽者、福地多惠子姉の体験された証しに耳を傾けてみてください。きっとあなたも主のご臨在と主の導きを受けることでしょう。そして、主は今も生きて働いて、私たちに救いの御業を行ってくださることに気づかれるでしょう。主はあなたを守り、奇跡をもって主の御愛を表してくださるのです。 「イエス・キリストは、きのうも、きょうも、いつまでも変わることがない。」 (ヘブル人への手紙十三章八節)