さまざまな保育の現場で すぐに使いこなすことができるようにと工夫されている 評:深井 智朗

20160810

鈴木明子:作詞/作曲 
奥田なつ子:絵 
喜多ゆり:楽譜浄書
うたであそぼう あそびうた50
(B5判・112頁・本体1500円+税)

 

深井 智朗(ふかいともあき:日本の宗教学者、ドイツ思想史の研究者、東洋英和女学院大学人間科学部教授)

長男は毎晩寝る前に絵本を読むのを楽しみにしていた。朝からあの本だと決めている日もあったし、突然お気に入りの本を探して出して、宝物を発見したかのように読んでもらっている晩もあった。ある日、この絵本は歌ってほしいと言われた。確かにリズムがよい展開で、読んでいるよりは歌いたくなる。自然と全編歌になった。妻が採譜にしてくれたので、今でもその絵本には楽譜がついている。

「50」の歌が収録されている本書を読みながら、いや歌ってみながら、この本もそんなふうに作られたのではないかと思った。 頁をめくり歌っていると子どもたちの顔が見えてくる、遊びの中から自然に歌が生まれる。喜びが、驚きが、悲しみが歌になる。生活の歌だ。讃美歌だってもともとはそのようにして誕生したに違いない。そんなこともこの本を歌いながら考えさせられた。

保育者への配慮がうれしい。いろいろな伴奏の仕方が紹介されているので、さまざまな保育の現場ですぐに使いこなすことができるようにと工夫されている。「御神の恵みを思いみれば、嬉しさあまりて歌とぞなる」という讃美歌を思い出した。

(『キリスト教保育』2017. 3月号掲載)