自分の全てを神に献げ、神にゆだねて歩む人生への祝福

kanemochi0830木下和好著
聖書の教える金持ち父さん、貧乏父さん50

(新書判・168頁・本体1000円+税・ヨベル)

市村和夫師
(いちむら・かずお=インターナショナルVIPクラブ 創設者・代表役員)

 木下和好氏の著書「聖書の教える金持ち父さん、貧乏父さん50」を読んでいて気付いたことですが、聖書の中には、経済、富、財産、商売、お金といったテーマが、思ったより多く記載されていることでした。その割には、教会の説教の中で、このようなテーマでメッセージがなされることが少ないのではないかと思わされました。

 神と富とに、兼ね仕えることは出来ないという聖書の言葉から、お金、富、財産といったものは、全て悪であり、罪であるかのように教えられてきたように感じ、富むこと、財産を持つこと自体が、何か悪いかのように思い、「聖く、貧しく、美しく」生きるべきであるかのように感じてきたのは、私だけでしょうか。しかし、著者は、富に仕えるとは、富の奴隷となり、貪欲に生きることを意味しているのであって、富そのものが悪いのではないと語っています。

 必要な物を求めることが悪なのではなく、他人の物を欲しがることが悪であると教えています(十戒)。聖書は、求めなさい。そうすれば与えられます。富むこと自体が悪いのではなく、与えられた富を与えようとしない心が悪いのであって、富そのものが悪ではなく、むしろ、富を必要な人に分配することが祝福に繋がると教えています。与える人は、益々、豊かに与えられ、与えない人は、持っているものまで、取り上げられてしまうのです。祝福とは、目に見えない霊的祝福だけでなく、実際的な、また、物質的な祝福も加えられることが聖書に記され、著者も強調しています。

  地球資源のすべては、創造主が創造したものであり、私たちは無償で与えられたものを採掘し、採取し、加工して、運搬して、店頭で販売する。その循環の中で、利益を生み出していくことによって、すべての人々が潤され、祝福されていくのです。それは、神のよしとされるところだからです。ところが、サタンは、地上の冨、財産を支配しようとして、人間を誘惑し、人間がその富を用いて、悪いことをさせようとし、その結果、富、財産自体が悪と思われるようにしまったことを、教えられました。

 私たちが、神の祝福のうちに富と財産を多く与えられ、多くの人々の必要に応え、投資し、消費し、富の循環を可能とし、地球資源の分配に協力するとき、富める家庭、富める社会、富める国家が形成され、そこに、すべての人々と、また、すべての国々と共に仕え合う「神の国」が実現していくことが可能となることを教えられました。

 

 お金や富や、財産自体が悪であり、罪であるかのように、教育されている中で、神の祝福のうちに富が増えることと、神を忘れ、貪欲に富を得ようとして、金銭を愛することとは別の問題であることを理解し、神を第一にし、神に仕えた結果、神に祝福されることと、自分の力で富を求め、貪欲に生きることとは違うことを知る必要があります。自分の努力で仕事をし、自分の力で業績を上げようとするのではなく、大切なことは、まず、自分自らが自分の全てを神に献げ、神にゆだねて歩み、一人一人を愛し、神と人とに仕えていった結果、神の祝福のうちに、多くの人々の家庭も、仕事も、人生も、国家も大きく祝福されていきます。私たちが、神の祝福と繁栄の中を歩むことこそ、神が人間に求めておられることを知ることが大切であることを教えている一冊と言えます。

 この本は、信仰を持っている人々が読むのに大変有意義な「目から鱗がおちる」本ですが、同時に、未信者の方々に読んでいただくことによって、聖書に興味を持っていただき、福音に触れて、救い主の信仰に導かれるためにも良いと本だと言えます。特に、未信者、求道者のビジネスパーソンのご友人にプレゼントとして差し上げるには最適です。福音の宣教にも用いられる本であると推薦いたします。